Volcanic rocks-火成岩の肉眼鑑定

分類の基本

火成岩の種類は、その構成鉱物と産状により決められている。 特に構成鉱物は、特殊な例を除いてその岩石の化学組成によって決まる。 そしてそれは、有色鉱物と無色鉱物の量比となって「色調」という形であらわれてくる。

表2.2 基本的な分類

分類SiO2含有量  色指数(color index)
酸性岩66%以上felsicacidic(acid)leucocratic(優白質 0〜30)
中性岩52 to 66%intermidiate↑↓mesocratic(30〜60)
塩基性岩45 to 52%maficbasic 
    melanocratic(優黒質 60〜100)
超塩基性岩45%以下ultra-maficultrabasic 

図2.12 色指数

色指数

色指数は岩石に含まれる有色鉱物の量を百分率で表したものである。

では実際の鑑定はどう考えたらよいであろうか?そのプロセスを次にまとめた。

  1. 構成鉱物

    鉱物の種類

    鉱物の量比

  2. 各鉱物の粒度

    〜1.0mm 細粒

    〜4.0mm 中粒

    4.0mm〜 粗粒

  3. 各鉱物の形

    球形、円柱、円錐、針状 etc.

    柱状、粒状、六角板状、卓状

    (立体的に捉えるように)

  4. 産状

    自形...それ自身が自らの結晶形になっている

    半自形..一部自形

    他形、充填状...他の鉱物の間を埋めている

  5. 組織

    [等粒状、斑状、シリイット]

    岩石がほぼ同じ大きさの鉱物粒から出来ているものを等粒状、連続的にいろいろな大きさの鉱物粒から出来ているものをシリイット、大小はっきりした二群に別れている場合を斑状組織といい、斑状組織の場合の細粒の基質を石基といい、大きな結晶を斑晶という。

    [均質、不均質]

    [縞状構造(鉱物の配列)]

  6. 岩石名の決定

以上を総合的に判断して岩石名を決定する。詳細は次節に述べる。

この鑑定のプロセスをみても明らかなように、最低限構成鉱物に関する知識は必要である。 そして、岩石についてもより多くの「実物」を観察すること、露頭での産状の観察、机上での各岩石の生成メカニズムなどの知識の習得が必要である。

注意しておきたいのは、色調の問題である。 例えば石英は無色透明な鉱物であるが、肉眼では透きとおっているために暗色に見える。 斜長石などもそうである。

火成岩の分類

以下に示すものは、一般の教科書にもあるものだが、これらを参考に分類をしていく。 詳細には光学顕微鏡観察などで決めていくのがよい。

表2.3 火成岩の分類

 塩基性岩類・mafic火成岩類中間(性)岩類酸性岩類同左
長石Caに富む斜長石中性の長石(Naに富む)斜長石>カリ長石(Naに富む)斜長石<カリ長石
細粒玄武岩安山岩デイサイト流紋岩
中粒ドレライト石英閃緑岩ポーフィリー花崗閃緑岩ポーフィリー花崗岩ポーフィリー
粗粒ガブロ石英閃緑岩花崗閃緑岩・石英モンゾニ岩花崗岩
含有鉱物カンラン石・輝石・斜長石輝石・角閃石・斜長石角閃石・黒雲母・斜長石・カリ長石・石英黒雲母・斜長石・カリ長石・石英

分類の基本でも述べているが、ここでいう酸性・塩基性というのは化学でいうものとは違う点に注意しなければならない。 ここではSiO2の含有量で分類している。 すなわち、SiO2含有量が70%前後のものを酸性岩、60%前後なら中性岩、50%前後のものを塩基性岩、40%前後のものを超塩基性岩とよぶ。

また、この表は非常に簡略化されている。現実には構成鉱物を顕微鏡下で確認し、詳細に分類すべきであるが、簡単な肉眼判定に重点を置き、この程度の分類とした。 詳細な分類については専門書を参照されたい。

よく深成岩、半深成岩、火山岩などという分類を行なう(本ホームページでも一部使用)が、本質的にこの「深さ」による区分は適当でない場合がある。深成岩として深部でゆっくり冷却した粗粒の岩石と、火山活動に伴い比較的地下浅所で出来た粗粒の岩石の区別などが問題となる。組織をもとに分類したほうが混乱は少ないように思われる。

花崗岩類の分類

花崗岩類の分類方法の一つを示す。次の三角ダイアグラムは国際地学連合火成岩分類委員会(IUGS)によるもので、石英と斜長石、アルカリ長石の含有量により花崗岩類を分類している。 これらの鉱物であれば慣れてくれば野外でも肉眼で判別し、ある程度の分類は可能である。

図2.13 IUGSによる花崗岩質岩石の分類

IUGSによる花崗岩質岩石の分類

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