地質断面図の作り方

見掛けの傾斜を求める

見掛けの傾斜を求める方法としては共線図法などが利用されるが、電卓でも簡単に計算できる。

φ=tan-1(tanα・sinθ)

ここで、φは見掛けの傾斜、αは真の傾斜、θは地層の走向方向と断面線の方位の角度差である。

ただ、この電卓を使う方法は室内ではよいが、フィールドでは共線図法が便利である。

図の使い方は簡単である。まず、真の傾斜を左の目盛でとり、続いて一番右の目盛で断面方向と走向方向のなす角度をとる。そしてその間を直線で結び、直線と真中の目盛の交点の数値を読みとれば、それが見掛けの傾斜角度となっている。

図4.5 共線図法(Palmer,1919)

共線図法(Palmer,1919)


単斜構造の場合

図に単斜構造の場合の断面図を示す。断面内には“見掛け傾斜”を投影する。この投影は地層の確認地点(露頭)から走向方向に延ばした線が断面線と交わる位置に、露頭の標高で行われる必要がある。

あとは単斜構造なので、投影された点から見掛け傾斜で地層境界を引けばよい。

図4.6 単斜構造の場合

単斜構造の場合


褶曲構造 - バスク法による地質断面図

バスク法は平行褶曲を作図する“平行褶曲図法”として最も一般的なものである。この方法はH.G.Buskが1929年に詳解した方法であり、断面図の地層境界が奇麗な弧か直線で表現出来、断面内の地層の傾斜はスムーズに変化するように表現される。

  1. 断面線に見掛けの地層の傾斜と資料位置をプロットする(「単斜構造の場合」参照)

    図4.7 バスク法(基本作図1)

    バスク法(基本作図1)


    断面図内で隣同士の傾斜線に直交する直線を、資料位置から引き、その交点をO,O'とする。

    図4.8 バスク法(基本作図2)

    バスク法(基本作図2)


    線分AOとBOに囲まれた範囲について、Oを中心とした円弧で傾斜線を延ばし、境界線を引いていく。

    同様に線分BOとCOで囲まれた範囲についてはO'を中心とした円弧で境界線を延長していく。

    図4.9 バスク法(基本作図3)

    バスク法(基本作図3)


  2. 断面内に同一の地層境界がある場合、一方の境界から延ばして作図してきたものが、うまく他方の境界と一致することは稀である。どうしても多少のずれが生じてしまう。

    この原因は地層を全て平行線で取り扱い、断面線と斜交することによる見掛けの厚さの変化を表現仕切れないバスク法の最大の欠点によるものである。

    図4.10 同一地層境界が繋がらない場合

    同一地層境界が繋がらない場合
    同一地層境界が繋がらない場合


    上図で、地層境界Aと地層境界Dが本来一致せねばならないとすると、黒破線で示すようにD点で生じたずれを修正してやる必要がある。

    下図において、Oを中心にA点から延ばした点Eと、同様にQを中心にD点から延ばした点をFとする。このEとFの間で修正を行うとする。

    先ず線分EFを引く。次にE点からBの傾斜に平行に引いた線、F点からCの傾斜に平行に引いた線の交点Rを作図する。線分EFに直交し、R点を通る線分を引き、それと線分BOの延長上の交点をSを作図する。同様に、線分CQの延長との交点をTとする。

    Eより線分RSの間はSを中心とした円弧を作図し、境界を作図する。また、同様に、Fより線分RTに間はTを中心とした円弧を作図し、境界を作図する。こうして、地層境界(青線)を得る。

    この方法は、BC間(EF間)に線分EFの勾配の傾斜線を追加して辻褄合わせをする意味となっている。

    図4.11 バスク法の修正

    バスク法の修正


  3. 資料数が多く、向斜、背斜が頻繁であるような場合などに円弧群をうまく継げない場合がでてくる(下図)。この場合には更に離れた円弧群と繋ぐことによって作図するが、そうすることによって、断面内に屈曲点が生じることになる。これは、褶曲の曲率が最大となるヒンジに相当し、褶曲軸の部分にあたるものである(褶曲軸は褶曲軸面の断面)。

    図4.12 ヒンジ部分の作図例

    ヒンジ部分の作図例
    ヒンジ部分の作図例


褶曲構造 - 三井法による地質断面図

三井法はバスク法よりも簡易に作図が可能である。

まず断面に見掛け傾斜を投影する。そして、その見掛け傾斜を示す点同士を結ぶ線分の中点より、それぞれの見掛け傾斜に直交する線分を引く(一点鎖線)。この二本の線分の作る角の二等分角で補助線を引く(図中赤線)。この線分で区切られたそれぞれの領域で、領域を代表する見掛け傾斜で地層境界を作図する(青点線)。

この方法はフィールドでのチェックなどに向いている。

図4.13 三井法の解説図

三井法の解説図


褶曲構造 - キンク法による地質断面図

[執筆中]

貫入岩その他を含む地質断面図

[執筆中]

inserted by FC2 system