岩石の採集と保管について

本来、鉱物や化石を採集することが目的ではない(仕事、研究が目的)が、採集に絞って書くことにします。

準備

ロックハンマー、クリノコンパス、ルーペ、タガネ、サンプル袋、新聞紙、雨具、安全帽、弁当箱、地図、筆記用具(油性ペンは必須)、(カメラ)、カバンなどを用意します。 中でもハンマーやサンプル袋などは必須項目です。

ロックハンマーは、写真のようなもので、種類は豊富です。 重さは450g位から1.5kgまで位が一般的だと思います。 写真のハンマーは850gです。 このくらいのものでおよその岩石に対応できます。

図5.3 ロックハンマー(Estwing Pick,850g,値段:時価)

ロックハンマー(Estwing Pick,850g,値段:時価)

図5.4 ルーペ(安物でよい)

ルーペ(安物でよい)

一般に採集はただ採ってくるのでなく、その産状や採集場所などを記録します。 クリノコンパスはただの方位磁石ではなく、地層の向いている方向(走向)や傾斜を測定したり、簡易な測量のできる機器です。 また、山中で道を見失った時などに重宝します。

図5.5 クリノコンパス(2万円以上,クリノメーターはもうすこし安い)

クリノコンパス(2万円以上,クリノメーターはもうすこし安い)

ルーペもあると小さな鉱物や有孔虫の化石を探すのに便利です。 出来れば持っていたいものです。倍率は10倍程度で十分です。

サンプル袋は何でも構いませんが、便利なのはフィルムケースです。 小さなサンプルはこれに納めます。 化石など壊れやすいものはティッシュ、新聞紙等で丁寧に包んでください。

こんな感じで、揃えると、(あまり格好よくないのですが)この写真のようになったりします。

図5.6 服装

服装


採集

ここで、採集についての注意点を書いておきます。

  1. 採集前に観察、記録する癖をつけてください。

  2. 安全を確かめてから。特に崖下などでは細心の注意を!

  3. 他人に迷惑をかけない。よその家の裏や工事現場など断ってからにしましょう。後片付けも忘れないように!

  4. 地層や岩石をよく観察し、それから採集して下さい。化石などはラミナ(葉理)に平行に入っている場合が多いので、その方向に石を割っていきます。

  5. トリミングは最小限にしておいて、持ち帰ってから室内で丁寧に行ないます。

  6. 転石も利用します。転石は崖など露頭から離れ、移動していて産状を観察できませんが、それを観察したことがもとで、上流(転石の供給源)の貴重なものの発見にもなります。

保管等

クリーニング

とにかく焦らないこと。 慌てて水で洗ったり、手で擦ったりすると簡単に壊れてしまうものも沢山あります。 根気よくクリーニングします。小さな砂粒などは、針(ニードル)等で飛ばしたり、工作用の小さな金槌や釘などで丁寧に不要部分を除去します。 でも、無理な場合は壊すより諦めるようにして下さい。

保管

採集時に観察したことも一緒に保管して下さい。 化石などは急激に乾燥させると割れるものもありますので、保管場所は十分気をつけてください。 鉱物なども酸化してしまうものもありますが、そういう場合はかなりの工夫が必要です。

以上、簡単に書きました。 ハンマー等購入希望の方は、測量機器を売っているお店でも入手できますが、少々割高です。

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